2006 年 41.3 巻 p. 677-682
東京都稲城市,多摩市,八王子市,町田市に広がる多摩ニュータウンは,昭和30年代から現在まで開発が続く計画住宅地である.近年は,初期開発地区の老朽化や居住者の急激な高齢化が進行し,いわゆるオールドタウン化した地区が散見される.この状況のもと多摩ニュータウン地域は,郊外の居住環境の良好なイメージのある地域と比較すると,居住環境に大きな差があると受け取られがちである.そこで本研究では,多摩ニュータウン地域とその他の地域で居住環境を定量的に比較し,その元来有している居住環境のポテンシャルをあらわにする事を目的とする.居住環境評価は,居住者が不動産を選ぶ視点を反映するため,居住者の居住環境への種々のニーズが直接反映される不動産価格を利用し,地価関数の便益計測に用いられるヘドニックアプローチから,その形成要因を分析する.