抄録
本論文では、街路空間には文化的な意味があると仮説を立てた。日本の「通り」とフランスの「Rue:リュ」から想起されるイメージを分析することによって、この仮説を展開した。街路空間は、自動車交通の発展に伴い世界中で共通する交通システムよって構築される傾向がある。一方、街路空間は各文化における公共空間であり、そして、街路は「通り」や「Rue」という名称によって示されている。そこで、デッサンを用いたアンケートによって、街路名称から想起されるイメージの分析を試みた。分析方法については、数値によるアンケート集計データを視覚的に扱うことができる「行列図」によってデータ分析を行った。その結果、日本の街路空間における歩行者の優位性とフランスの自動車交通に対応した街路の特徴が各文化において明らかになった。また、日本ではイメージによる街路の分節化がフランスと比較すると明確ではなかった。