都市計画論文集
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建築と周辺環境の景観保全に関わる気候風土とその研究思潮
是澤 紀子田中 稲子堀越 哲美
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2007 年 42.1 巻 p. 100-105

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抄録
本稿では、建築とその周辺環境の景観に対し工学的観点からの研究が盛んに取り組まれる1970年代までの成果をもとに、地理学的及び気候学的研究が生態学的・人文学的要素を取り入れていく展開を追い、その系譜化を試みた。その結果、以下のような知見を得た。1)自然環境にみる景観については、大正期から昭和初期にかけて、文化や芸術的な価値に対する形態学的な考察だけではなく、科学的な考察が補足されていた。2)一方、居住環境の景観は、形態学的研究から居住環境が発達する潜在的条件とその機構の研究へと戦前から戦後にかけて展開していったといえる。3)さらに、大地と大気の接触面に景観の現象をみる気候学的観点と生態学的・人文学的要素と結びついた研究は、土地利用にとどまらず環境管理により発展した景観を扱ったことから、維持管理を重視した景観論が展開していった。
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© 2007 公益社団法人 日本都市計画学会
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