抄録
本研究は、小規模区画整理への民間事業者の参画の効果を明らかにすることを目的とする。具体的には、これまでに施行された民間事業者による小規模区画整理の実態を従来の区画整理と比較して調査し、それらの周辺地域にもたらす外部効果を推定することにより、民間事業者の参画の効果を分析するものである。実際に施行された民間事業者による小規模区画整理を見ると、自治体が施行した場合よりも低廉な事業費で事業化されており、かつ外部効果の大きなものが確認された。一方で、現行の公共施設整備の要綱及び認可基準に課題があり、公共施設の整備による正の外部効果の確保されていないものもあることが分かった。従って、今後より効率的・効果的に民間事業者の参画を推進するには、より具体的な基準や事前の外部効果の検証、自治体による事業費の補填が必要であると考えられる。