抄録
本研究では、地域の文脈を踏まえ、地域が主体となり、必要に応じて農地と共存させながら、良好な住環境の住宅地の開発・管理主体となることが制度上可能である「農住組合」に注目し、住環境マネジメントの実践と効果、課題を明らかにし、今後の住環境マネジメントの可能性を検討した。対象とする農住組合は、2007年3月までに設立された80組合である。さらに農住組合による住宅地開発が行われた80事例から、9事例を抽出し、事業内容を把握するためのヒヤリング調査及び現地調査を2007年2~3月に実施した。結果、組合による住宅地開発は良好な住環境形成に寄与している。管理も集積と規模の効果から、統一した管理・経営リスクの低下・現場管理体制の強化が図られている。今後、土地所有者による組合方式の住環境マネジメントを土地基盤整備後も実施する方法として、農住組合を残す方法、集合住宅所有者で管理組合を作る方法、新所有者(住民)で管理する方法などが考えられ、管理支援体制の強化が課題である。