抄録
本論はコージェネレーションシステムを用いた地域エネルギーシステムの評価法を扱った論文である。本論でははじめにコージェレネーションシステムを評価する際の評価系や論点の整理を行い、次いで評価系や電力と熱の評価方法の設定等が地域エネルギーシステムのエネルギー効率性の評価結果に与える影響を明らかにする目的で、ガスエンジンコージェネレーションによる仮想的な地域エネルギーシステムのエネルギー効率性のモデル的試算を行った。モデル分析の結果、評価系の設定がエネルギー効率性の評価に与える影響は大きく、都市内のエネルギーシステムについてはサブシステムレベルでの効率性向上が全体効率の向上に必ずしもつながらない可能性があることを明らかにした。これらの結果をもとに、本論は地域エネルギーシステムの可能性を活用するためには、都市計画で地域エネルギーシステムの整備を位置づけることが有効との仮説を提示している。