抄録
景観法の景観計画における運用上の課題と効果を考察することを目的とした。研究の方法は、景観計画の規制基準の整理・分類と全国を対象とした自治体アンケート・ヒアリング内容の分析による。結論として、基準は色彩・形態意匠・緑化等について定めているところが多いが、運用実態はほとんど色彩のみに偏っており、形態意匠についてはあまり協議されていなかった。自治体の制定基準を色彩に着目し、分類すると5タイプに分かれ、各自治体の課題に合わせた運用がなされていた。運用実態について、景観法に基づく変更命令は出された事例はなく、景観法の効果は出てきていると考えられる。ただし、高さについては変更命令が出せないため、良好な景観をトータルで創出するためには、都市計画諸制度との効果的な連携が必要となる。