抄録
イングランドにおいて、地方分権や民間・市民セクターの公共への関与が推進され、一方で経済開発など単一の基礎自治体では対応が難しい広域的課題が顕在化するなかで、地域開発の空間的単位としてサブリージョンが注目されている。本研究では、戦略策定や財源配分などリージョンにおけるガバナンスの形成とその限界、及び多様な主体のパートナーシップによるガバナンスの広域化の二つの視点から、サブリージョンにおけるガバナンスの形成に向けた動きについて考察を行った。日本の広域地方計画と照らした特徴として、1)リージョンレベルでは中央政府主導によりRDA、RA、GOの制度上の機能分担が進み、リージョンの裁量を認める予算制度が整備されたが、リージョン内における調整機能の限界が指摘され、RDAへ戦略策定・予算機能が集約されつつあること、2)中央政府はサブリージョンの概念を明確に示さず、リージョンが主体的に圏域を設定していること、3)サブリージョンレベルで任意に設立したパートナーシップやローカルにおける地域戦略パートナーシップが、複数地域協定の締結に向けたガバナンスが形成していることを指摘した。