抄録
アンデスの文化的景観の保全は、複雑な問題をはらんでいる。それは、15世紀から19世紀前半にかけてのスペイン侵攻の際の破壊、20世紀中頃の共和制時代の近代化と都市拡張の影での衰退、そして過去20年間の旅行客の増大という、これまでのアンデスの歴史に起因する。本論文では、ウルバンバ川流域のオヤンタイタンボを事例として、アンデスの文化的景観の価値を明らかにすることを目的とする。はじめに、オヤンタイタンボの文化的景観の遺産とその現況を述べる。次に、経済発展および無計画な都市の成長が文化的景観へと及した影響を明らかにする。さらに、その文化的景観が現在直面している課題を明らかにする。最後に、地区ごとに評価を行ない、保全と再生のため戦略を立案する。