2008 年 43.3 巻 p. 697-702
本論は札幌市の都心部を対象に、冬季における屋外歩行空間が、厳しい気候条件から少しでも良好になるような方策を検討するために、屋外歩行空間への風雪の影響が少ない高層建築の形態を、風雪シミュレーションにより考察する。具体的には、屋外歩行空間に直接的に風雪の影響を与えると考えられる、高層建築の低層部分の形態について、冬季の気象条件をもとに考察する。結果として以下の内容が明らかになった。タワー建築の足元の地表部分は風雪の影響を大きく受け、雪の吹きだまりや吹き払いができやすい。屋外の公共空間を計画する場合は、タワー建築の足元に緩衝帯などを設け、歩行者が風雪による影響を受けないことが必要である。さらに、街区周辺の歩行空間に風雪の影響を及ぼさないためにも、タワー建築と建築面積の大きい低層部分とを複合させることが望ましい。これにより、タワー建築によって引き起こされる、風雪が周辺に与える影響を低減することができる。ただし、タワー建築は街路から離して緩衝帯を設ける必要がある。