抄録
本研究は、オランダとイングランドの土地利用計画への戦略的環境アセスメント(SEA)制度及び事例を比較することにより、両国のSEAの制度上、運用上の特徴を把握し、SEA未導入国への示唆を得ることを目的とした論文である。制度・事例の比較により、以下のことが明らかになった。オランダは意志決定の遅い段階において、規定された事業の計画の環境面でのみ評価を行う制度である。環境・社会・経済面でのバランスがどのようにとられているかが明確に示すことが出来ないといった課題がある反面、環境面でどのように意志決定をしたのかを明確にしめしている。イングランドは、意志決定の比較的早い段階で、環境・社会・経済の面から評価を行う制度である。計画の幅広い側面をその対象と出来、環境・社会・経済をどのようにバランスをとって意志決定を行ったのかを明確に示すことが出来る。その反面、SEAのコストの問題、SEAの分かりにくさといった課題を持つ。