都市計画論文集
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駐車場に設置する防犯カメラ等の効果及び利用者等の態度
愛知県内での実験から
樋野 公宏
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2008 年 43.3 巻 p. 763-768

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抄録
本研究では、防犯カメラを設置した駐車場及び駐輪場において、可能な限り条件を統制した上でその犯罪抑止効果と副次的効果の検証を行った。また、防犯カメラの正負の影響に着目し、防犯カメラ設置駐車場の利用者及び管理者の意識や反応について調査、分析した。結果として、両対象地において前年同期から犯罪の減少傾向が見られ、懸念された犯罪の転移現象は見られなかった。管理者等へのインタビュー調査からは、無断駐車や放置自転車の減少、ゴミのポイ捨てや落書きの減少などが確認された。110番件数については、両対象地とも大幅に減少した。犯罪だけでなく、トラブルや秩序違反行為等も減少した可能性が示唆される。利用者の意識調査からは、犯罪抑止や検挙率向上への期待によって、利用者の犯罪不安が低減され、設置に賛成する割合も高いことが分かった。一方、防犯カメラの負の側面として、プライバシーや肖像権の侵害を感じる利用者がいずれの対象地でも15%前後存在すること、そしてこの懸念は賛成態度に影響することが分かった。
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© 2008 公益社団法人 日本都市計画学会
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