抄録
ボロノイ図とは、空間に複数の点(母点)があるとき、最も近い母点に所属するように空間を分割した領域図であり、いわば母点の縄張り図ともいえる。ボロノイ図の都市計画への利用として、施設の立地分析や最適配置計画に適用されている。例えば、店舗の商圏、図書館や病院などの公共施設の利用圏、小学校区などの分析や計画があり、応用範囲が広い。点(母点)によるボロノイ図には基本的に次の3種類があり、それぞれに適した別々の方法が用いられる。1)空間全域を母点群の領域に分割するボロノイ図。垂直二等分線が用いられる。2)線パターンで構成されたボロノイ図。グラフ理論が用いられる。3)障害物のあるボロノイ図。グラフ理論の最短経路が用いられる。本研究は以上3種類のボロノイ図を同一の手法で求めようとするものである。その基本的アイデアは次の通りである。つまり、1)空間を正方格子で分割されたセルの集合とする。2)セルの位置をセル内部のランダムな位置で代表させる。以上の方法によって実際にコンピュータを使ってボロノイ図を作成する。