都市計画論文集
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都市撤退を考慮した郊外部の土地利用計画に関する環境負荷・受容量への影響分析
整備手法の異なる地区を対象としたエコロジカル・フットプリント分析
内田 元喜氏原 岳人谷口 守松中 亮治
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 43.3 巻 p. 883-888

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抄録

人口減少社会において、都市活動の撤退による土地利用の非効率化が懸念される一方で、国土審議会では持続可能な国土管理に向けて都市的土地利用と自然的土地利用が適切に配置された“調和ある土地利用”について議論されている。本研究では都市整備手法の異なる地区の都市撤退状況を把握した上で、EF指標値(環境負荷)の経年的な変化を明らかにした。また、“調和ある土地利用”に向けたシナリオ分析を実施し、環境負荷量及びそれらを受け入れるための自然的土地利用(環境受容量)への影響を分析した。分析の結果、スプロール市街地では、撤退後に低未利用地として放棄されることや建物更新に伴う住宅タイプの変化が要因となり、一人あたりの環境負荷は増加傾向にあった。土地区画整理事業が実施された地区では、特に土地利用施策を実施せずとも撤退後の土地が再利用される傾向にあることなどから環境負荷は低減される可能性が高い。一方、スプロール市街地では環境負荷の高い無秩序な開発を抑制し、自然的土地利用への転換が効果的であった。一体的開発市街地では、建物更新時期にあわせた集合住宅の開発や自然的土地利用への転換などの施策の効果が高い傾向にあった。

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© 2008 公益社団法人 日本都市計画学会
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