抄録
条件付特定用途許可制度とは、ゾーニング条例(Zoning Code)でゾーニング地区(Zoning District)別に示される用途の制限において、権利として許可される用途(Permitted as of Right Uses)、禁止される用途(Prohibited Uses)とは別に、特例的に扱われる用途が示されており、該当の用途の計画内容を個別に審査し、一定の基準を満たすと判断される場合には、条件等を付して認める制度である。本研究は、米国諸都市での条件付特例用途許可について、制度設計の実態、技術的な判断基準、具体の運用状況等の詳細を明らかにし、日本での望ましい建築規制のあり方を考える際の有益な知見を得ることを目的とする。対象17都市を対象都市、市役所の担当職員にヒアリングを行うとともに、関係資料の提供を受けた。合わせて、インターネットによりゾーニング条例や解説資料、審査案件の情報等を入手した。以上より、(1)制度の定義、(2)審査手続と審査主体、(3)審査の方法と審査基準、(4)審査件数と典型的案件、(5)対象とされる用途及びゾーニング地区の設定状況に関する情報を把握し、都市間の比較考察を行った。