都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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都市計画区域に着目した不動産競売市場動向に関する基礎的研究
轟 修
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 46 巻 3 号 p. 565-570

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抄録

人口縮小時代を迎え、集約型都市構造への志向が強まる中で郊外のあり方について議論を深化させていくには、郊外に存する不動産流通市場の実態を改めて検証しておく必要がある。本研究では不動産流通市場の実態把握を目的に、近年に整備が進んでいる不動産競売データに関する実証的な分析を都市計画区域の区域区分を用いて行った。その結果、都道府県単位では競売物件数と人口等との比較では地域的な偏在は認めにくかったが、市街化区域等の市街地と比べて市街化調整区域等の郊外で競売物件発生率が高くなっていた。次に地方部のスタディとして取り上げた岐阜地方裁判所管内でも同様に競売物件発生率が市街化調整区域で高くなっていた。また売却価額と売却基準価額の比である買増率が市街化調整区域等の郊外で負、つまり減価傾向にあった。今後、ストック重視の不動産市場を形成するには物件の残存価値を高めていく必要があるが、市街化調整区域等の郊外には何らかの減価要因を含んでいるものといえ、今後の施策を考える上での課題を提示することができた。

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© 2011 公益社団法人 日本都市計画学会
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