2012 年 47 巻 3 号 p. 319-324
本研究では、えちぜん鉄道再生後8年が経過したことを受けて、その事後評価の一貫として、非利用者を含む沿線住民アンケートの分析結果を用いて、えちぜん鉄道が地域にもたらしている非利用価値を含む種々の価値に対する住民の認識レベル、その運行に投入されている公的財源額に対する受容度等を明らかにした。主要な成果は以下の通りである。(1)直接・間接を含む総合価値体系を仮設し、各種価値の存在と程度を確認したところ、沿線住民の多くは利用の有無に関わらずえちぜん鉄道がもたらしている様々な価値を認識しており、利用可能性の便益(価値)が存在する。さらに、(2)総合価値認識には、直接的利用価値のみならず存在価値等の非利用価値も寄与している。(3)価値認識を背景に、現在、えちぜん鉄道の運行に対して投入されている公的財源額についてもほぼ妥当として受容されている。