本研究は土地利用現況図を対象に,地区特性を判断する際の着彩指定の重要性について実験を通じて検証するものである.都市計画実務者と学生を被験者として,着彩変更によって地区特性判断に誤認が生じる割合と判断時間などを計測し,反応を比較した.都市計画実務者は,従来と同じ着彩では誤りなく効率よく地区特性判断ができていた.しかし着彩変更が正確性,判断時間や効率に大きく影響し,それまでの訓練や経験が無効化されるに近い影響を与える可能性が示された.特に,住宅用地の着彩変更が業務に非効率や混乱をきたす懸念が大きいことが示された.平成25年に改訂された都市計画基礎調査実施要領では,着彩に関する指定がみられない.しかし,従来指定着彩からの変更により生じる認識のズレは,業務の非効率化,また更には地区特性判断の誤りに繋がる可能性がある.実務者が誤りなく,効率よく地区特性判断を行う上で指定着彩は重要である.