都市計画論文集
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敷地間口の分布関数と建物棟数密度
閉曲線上におけるポアソンボロノイ領域の長さ分布の応用
薄井 宏行浅見 泰司
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 49 巻 3 号 p. 579-584

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抄録

敷地間口の分布は,敷地や建物の規模や形状を介して住環境に影響を及ぼす.このため,敷地間口の分布やその性質を把握することは重要であるといえよう.ところが,敷地間口の分布に関する理論的な検討は十分になされていない.本稿では,敷地間口の分布を,閉曲線上におけるポアソンボロノイ領域の長さ分布としてモデル化することで,街区境界線上における建物棟数密度(以降,「建物棟数密度」と記す.)を母数とするガンマ分布として定式化することを検討した.その結果,1)敷地間口の最頻値は建物棟数密度の逆数の1/2になること,2)敷地間口の平均と分散は建物棟数密度の逆数に比例することがわかった.また,ポアソンボロノイ領域の長さ(理論値)の分布と実市街地における敷地間口(実測値)の分布を比較したところ,理論値に対する相対誤差は,1)平均の場合,理論値のほうが6%大きいこと,2)標準偏差の場合,理論値のほうが11%から16%大きいこと,3)最頻値の場合,実測値のほうが20%から44%大きいことがわかった.さらに,実測値に基づく分布は,理論値に基づく分布よりも最頻値の近傍に集中することがわかった.

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© 2014 公益社団法人 日本都市計画学会
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