2017 年 52 巻 3 号 p. 1108-1115
この研究では、地方自治体の縁辺部における土地利用規制格差の下で制定された開発許可条例に着目する。本研究では、和歌山市及び甲府市の市街化調整区域とその隣接市を対象として、両市の間での市街化の動向と、土地利用施策を明らかにすることを目的とする。その結果、以下のことを明らかにした。(1)開発許可条例の制定により市街化調整区域での市街化が促進された一方で、非線引き都市計画区域側での市街化が鈍化した。(2)前述の市街化には、農振法の土地利用規制格差も影響していた。(3)非線引き都市計画区域側での市街化が鈍化しても、農振除外による市街化を確認できるが、非線引き側での土地利用規制誘導策の導入には消極的であること。