都市計画論文集
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高齢社会における地形条件を考慮した公共施設整備のあり方に関する研究
縄田 拓哉村木 美貴
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 52 巻 3 号 p. 1150-1155

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抄録

現在多くの自治体は、財政悪化を背景に、公共施設の計画的な総量削減と行政サービスの維持を模索している。これまでの公共施設立地では、施設のサービス圏域に成人を対象とした同心円が採用されてきたが、今後増加が予想されている高齢者は、身体的能力の低下から、成人と同じ距離を歩くことは困難であるとされている。しかしながら、施設の立地状況や高齢者の身体能力の低下を鑑みた施設配置のあり方は明らかでない。そこで本研究は、高齢社会における地形条件を考慮した公共施設整備のあり方を明らかにすることを目的とする。具体的には、通所型の高齢者向け公共施設を対象に、小中学校への複合化による適正配置のあり方を、傾斜と高齢者が移動できる距離から明らかにするものである。まず、大田区の公共施設整備計画の方向性を把握し、傾斜と高齢者の歩行可能距離から福祉施設のサービス圏域を設定した。最後に、設定したサービス圏域を用いて小中学校への複合化を検討した結果、同心円のサービス圏域を用いた施設配置と比較して、多くの高齢者が福祉施設を利用可能な施設配置が明らかとなった。

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© 2017 公益社団法人 日本都市計画学会
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