抄録
本研究は,近年地方の衰退と東京一極集中の解決策の一つとしてしばしば議論されている道州制に着目し,これを導入する際に,必然的に生ずる「自治体の統合」が,人口分布にもたらす影響を把握するための実証的知見を蓄積することを目的として,平成の大合併,廃藩置県・府県統合,そして,北海道における道州制という我が国における象徴的な自治体統合による人口動態の変化を検証した.その結果,いずれも,中心機能の遷移によって,周辺部から中心部への人口集中が促された様子が確認された.これは,自治体統合によって地方の衰退と東京一極集中の是正を阻む現象を招く可能性が示唆されたことと同義である.地方の衰退と東京一極集中がそれぞれ,我が国の都市計画において最重要課題の一つであることを踏まえるならば,道州制の導入の是非を巡る議論は,より慎重な態度でもってなされるべきであるということを,本研究結果は示唆しているといえよう.