抄録
本研究では,中山間地域に位置する2自治会内の高齢者への聞取調査で得られた人づきあいに関する情報をもとにネットワーク分析を行い,また,ネットワークの強さと健康指標との関連性について分析を行った。ネットワークにおける媒介中心性が高いノードを省いた場合,ネットワークの中心人物を失うことでネットワークの緊密性が低くなる特徴がみられた。調査対象者の居住地間距離と接触頻度の関係についてみると,居住地間距離が地域内交友の阻害要因となっている可能性が示唆された。ネットワークの入次数と健康指標の関係についてみると,入次数が大きいほど健康指標の得点は高くなる傾向があり,人的ネットワークの強さと健康指標に関連性がみられた。