抄録
市街地において顕在化している空き家問題への地方自治体の対応を通じて、所有者不明の土地・建物の発生状況を明らかにすることを目的としている.2017年10月に全国の市区町村の空き家施策担当部署に対して,空き家問題への対応策として実施とした所有者調査の実施状況について,アンケート調査を実施した.行政区域内の宅地において所有者不明物件に対応している自治体は全体の60.7%である.町村に比べて,市区での所有者不明問題への対応が進んでいる.しかし、自治体職員において所有者調査の負担が大きく、今後、町村部でも市区同様に空き家が増加すれば、体制面、制度面ともに対応面の問題が生じる。庁内関係部局との連携、庁内専門機関との連携により、効率的かつ円滑に調査を実施すること、情報共有・活用や不明土地・住宅への措置の円滑な実施などを条例に定めておくことなどが解決策となる。