2018 年 53 巻 3 号 p. 1207-1214
本研究は、東日本大震災による復興事業を行っている大船渡市と、そこに継続支援をしている2つの自治体を事例に、長期にわたる復興市街地整備のための事業における、自治体間の継続的な職員派遣による人的受援と支援の状況を、受援側の「要請」、支援側の「要請に対する職員の派遣」と、受援側支援側による「その継続」に着目し、アンケートとヒアリング調査等により明らかにした知見から、自治体間における継続的な職員派遣の課題を得ることを試みている。その結果、大船渡市では円滑な要請により、長期にわたる自治体間の継続的人的支援を受けていることがわかった。これは、被災前からの活発な交流に基づく災害応援協定や、被災後に支援の要請を協議・調整する仕組みを、継続的な支援と受援の中で構築することにより導き出された結果であった。また、2つの自治体の支援の特徴から2つの支援の類型がみられた。これら類型の整理から、事業進捗に伴う派遣職員の必要な職員を、受援側は要請すること、支援側は要請に対して職員を派遣すること、その継続についての課題を明らかにした。