本研究では郊外部における公共サービス維持に向けて、学校施設を中心とした地域公共施設再編の検討手法を先進事例から見出し、その可能性と課題を明らかにすることを目的とする。首都圏郊外自治体のうち、公共施設マネジメントに関する特徴的な市民参加の取組を行っていた春日部市、東村山市、松戸市の市職員へヒアリング調査を実施したほか、松戸市小金原地域において地域住民による公共施設マネジメントの取組へ参与し、地域団体へのインタビュー調査等を行った。その結果、自治体と地域住民が地域レベルで公共施設再編の検討を行うメリットとして、個別施設ごとの各論を避けながらも具体的な議論が可能な点や多世代による視野の広い議論が可能な点が挙げられた一方で、いずれの自治体でも具体的な検討手法や市民参加方法が確立されておらず、現在は地域ごとの公共施設再編の方向性や具体的手法を検討している段階にあることが明らかとなった。また、庁内連携がスムーズでない場合は地域組織を中心とした地域主導型での検討が有効である一方、そのためには地域組織と庁内各所管課とのさらなる関係構築が必要であることが課題として明らかとなった。
