2018 年 53 巻 3 号 p. 1327-1334
従来,交通行動の分析・予測において,個人間の異質性は,社会経済属性を用いて表現されてきた.一方で,近年長期間の交通行動の観測が可能となったことで,行動履歴データを用いた分析・活用に関して研究が進んでいる.本研究では,行動履歴より行動パターンの数値化手法を提案し,数値化された行動履歴と社会経済属性を用いた行動モデルをそれぞれ構築した.この分析により,数値化された行動パターンが社会経済属性よりも詳細に個人間異質性を考慮することができる変数となることを示した.加えて,数値化された行動パターンを用いた分析により意思決定を規定する嗜好の異なるクラスを明らかにし,嗜好の異なるクラスと行動パターンとの関係性を示した.