抄録
超高齢・人口減少社会の進展により地域の公共交通の持続的な運営は難しくなり、公共交通政策に対する自治体の主体的な関与の重要性が高まっている。地域公共交通網形成計画の策定している自治体の数は増えているが、十分な成果を挙げている例は少数に限られている。本研究では公共交通政策に対する自治体の財政支出に着目し、すべての市・区に対象としたアンケート調査によって、その実態を明らかにするとともに、支出の項目を定義して詳細に分析した。まず、支出額と自治体の特性との関係性を分析した結果、以下の2点を明らかにした。1)経常的費用に対する補助の割合は、自治体の住民の通勤・通学時における自家用車の利用率に弱い正の相関があること。2)地域公共交通網形成計画を策定している自治体は支出の割合が相対的に多いこと。