抄録
踏切の安全性に対する関心が高まる中、「事故」だけでなく、その手前の段階である「障害」(列車が危険な状態に直面して停止すること)の防止も安全性の確保のために重要な視点である。障害は発生件数が増加傾向にあり、その抑制は予防的な観点からの事故対策になる。本研究は踏切障害の抑制を目的とした鉄道事業者(JR東日本仙台支社)による対策の効果や意義・課題を明らかにすることを目的とする。まず踏切事故・障害の傾向を踏まえつつ、踏切の障害数や交通状況・諸元から「歩車混在」が障害に寄与することを明らかにする。加えてJR東日本仙台支社の事例から「歩車分離」という視点からカラー舗装化が踏切障害の抑制に及ぼす効果を検討する。さらに踏切拡幅の事例について道路管理者と鉄道事業者の議論のプロセスに着目し、その意義や課題を整理する。