抄録
演劇やコンサート,パフォーマンスライブなどを観る際,観客からステージ上のパフォーマーまでの距離,および観客からパフォーマーへ向けられる視線の角度は,観客の効用を左右する大きな要因である.観客はパフォーマーをなるべく近く,かつなるべく正面から目にしたいと感じるだろう.本稿では,二次元領域(劇場ホール)を合同な正方形マスの集合として表現し,それぞれのマスを施設(ステージ)または需要(観客席)に割り当て,このもとで観客にとって最も望ましい施設の配置・形状を決定するモデルを構築する.提案モデルに対する近傍探索法に基づく発見的解法を設計し,正方形,台形,円の領域形状に対して提案手法を適用した.得られた局所最適解を分析した結果,視線の角度を重視する場合には,領域の端に細長い形状の施設が配置された.また,距離を重視する度合いを大きくすると,領域中心部に丸みをもった形状の施設が配置されることが明らかになった.