都市計画論文集
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吉祥寺駅周辺における短冊形地割の成立過程に関する考察
旧吉祥寺村・西窪村・下連雀村を対象として
山崎 美樹伊藤 裕久
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2018 年 53 巻 3 号 p. 267-273

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抄録

現在のJR吉祥寺駅周辺市街地(東京都武蔵野市)は、近世に成立した新田集落のもつ短冊形地割が街区・街路形態に継承されており、近代以降の市街化過程の基盤となった。本稿では近世における短冊形地割の成立過程と、近世から近代へと引き継がれた短冊形地割の空間的特徴を具体的に明らかにすることを目的とする。そこで同時期に開発された旧吉祥寺村・西窪村・下連雀村を対象とする。寛文期の開発された三村は1657年に起きた明暦の大火後の住民移転による新田開発という歴史的経緯から、間口20間×奥行8間の奥行の浅い屋敷設定など、他の武蔵野の新田集落とは異なる共通性が見られる一方で、吉祥寺村では本宿(集落)と野田(耕地)と呼ばれる二種類の短冊形地割など、地域的な特徴があることが、寛文期の地割の復原的考察から明らかになった。また西窪村・下連雀村では、近世の間に人口増加へ対応するために、短冊形地割の間口が二分割され、宅地へと変換されていった。

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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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