抄録
本研究は、公共空間としての川床の創出を促進するための知見を得ることを主眼として、研究対象としているかわてらすLの開設経緯と利用実態を、各関係者へのヒアリング調査、利用者への観察調査とアンケート調査により明らかにする。本研究により得られた結果は以下の4点である。第1に、かわてらすの複数の事例は、建築基準法上の扱いがそれぞれ異なり、かわてらすLは、河川法の手続きのみで扱う工作物とし、建築確認を不要とした。協議の際に自治体との調整に時間がかかったため、自治体と民間事業者と地区組織による協議組織が存在すべきといえる。第2に、かわてらすLの利用者数は、レストランによって増加しており、かわてらすLはレストラン利用者に限らず、多様な利用があり、公共空間として利用されている。第3に、レストランや川への眺望の良さは、かわてらすLが利用されるきっかけとなっており、水辺空間の利用を促進するといえる。第4には、利用者のかわてらすLに対する公共空間としての認識は、全体的に高い。以上のことから、かわてらすLは公共空間としての川床創出の一つの方法を示しているといえる。