抄録
この研究は,満州国国都建設計画について,その法制度と土地経営の実態を分析しています。満洲国の土地経営とは,超過収用から派生した都市整備手法で,造成された宅地の売却益で都市を建設する手法です。新京では土地の売却益だけでは事業費が足りず,満洲国政府による公費負担が必要でした。土地経営を行うには,強力な行政権力ばかりでなく,投機目的の不在地主を排除しておく必要もありました。既存住民が事業区域内に残るには,新たな居住者と同じ条件で一般競争入札に臨む必要がありました。即ち,満州国国都建設計画は,植民地の,植民地政府による,植民者のための都市計画だったと言えます。