都市計画論文集
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公民連携による公共空間の維持管理及び利活用手法としての都市利便増進協定に関する研究
網羅的傾向及び類型化による都市利便増進協定の特徴と課題
松下 佳広泉山 塁威小泉 秀樹
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2018 年 53 巻 3 号 p. 732-739

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抄録
本研究は公民連携による公共空間の維持管理及び利活用の手法として都市利便増進協定に着目し、都市利便増進協定の制度的特徴や運用状況の網羅的傾向を把握したうえで、個別の協定事例を類型化し、類型ごとの特徴を明らかにする。これらを踏まえた考察から都市利便増進協定の特徴と課題を明らかにすることを目的とした。研究の結果、都市利便増進協定の制度的特徴として協定の対象空間や協定事項が柔軟、地権者全員の参加は不要、地権者としての自治体と都市再生推進法人が参加、の3点が挙げられた。また協定関係者の自由な発想や現場のニーズに応じて多様に活用されていることがわかったが、特に都市再生推進法人の公的な位置づけを強化し自治体による支援を得やすくする手法としての活用、複数の公共空間を都市再生推進法人が一体的に運営する手法としての活用、エリアマネジメントの取組みを制度的に担保する手法としての活用、などの活用法ができることが同協定の特徴と言える。また制度的課題として承継効がないことにより協定効力の持続性が確保されていない点、運用上の課題として地権者(地域住民)が締結者として関与する協定実績が無いことなどが挙げられる。
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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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