抄録
本研究は、小規模不動産事業を通じて既成市街地を再生する主体としての社会的企業の可能性と課題を検証するものである。松戸駅周辺を舞台とする"MAD City"プロジェクトの事例分析を通して、建物の改修や転用と行った小規模不動産事業による既成市街地再生のプロセスを明らかにするとともに、持続性評価の枠組みを用いて社会的企業の小規模不動産事業による取組みの市街地再生への貢献を評価した。市街地再生への貢献については、企業の掲げる項目では即効性をもつ一方で、市街地全体の包括的な再生のためには不十分であり、即効性がありかつ包括的な市街地再生を実現するため、社会的企業の市街地再生への貢献を評価・可視化することで行政や地域組織等との協働を推進する仕組みが必要だという示唆を得た。