抄録
大規模災害は広域的な道路の寸断を発生させ,被災地の復旧の遅延をもたらす.災害による地域の被害を最小化するためには,発災後速やかに緊急輸送道路をはじめとした重要な道路の復旧に着手し,被災地までの経路をつなぐことが不可欠である.この課題は特に2011年の東日本大震災以降に重要視されるようになり,現在全国各地で実効的な道路啓開計画の策定が検討されている.本研究は,大規模災害による被災状況と発災後の復旧対応力に応じて,重要な進出ODノードペアのアクセシビリティを最大化する道路復旧パターンを特定することで,優先的に復旧すべき道路を提示可能なモデルを提案する.モデルを南海トラフ地震に備えた四国の道路啓開計画案に適用した結果,限られた復旧対応力でより多くの進出ルートを確保するために必要となる道路復旧パターンを提示することができた.