抄録
平成28年4月14日と4月16日に発生した熊本地震では最大震度7を観測し,電気,ガス,水道等のライフライン及び,空港,道路,鉄道等の交通インフラが甚大な被害を受けた.交通インフラ等の物理的被害の状況については調査により実態が明らかにされたが,広域的な交通流動についての影響は十分に明確になっていない.そのため,本研究では九州全域を研究対象とした.熊本地震による道路の被災状況に関する時間的推移のデータを整理し,時間経過に伴う道路網の変化に対する広域交通流動の時間的変化を明らかにする.そして,地震発生から2017年末までの間の九州全域の総走行時間の変化に基づく時間損失額を推定することによって熊本地震の広域交通への影響の評価を試みる.