抄録
防災船着場は水上輸送が緊急時に陸上輸送の代替手段として機能するように整備された船着場である。東京都が策定した防災船着場計画によって、水辺地区において網羅的な配置進んでおり、現在99箇所配置されている。しかし、輸送量や輸送先の想定が行われておらず、そのため整備が行き届いていない船着場が存在し、緊急時に機能できるかは不明瞭である。そこで本研究では、ヒアリング調査やArcGISを用いて、それぞれの防災船着場が持つ緊急時の輸送機能の評価を行った。5つの輸送機能に分類してヒアリング調査に基づき、整備内容や輸送量の想定を行った。結果として、輸送における重要な拠点を抽出でき、その中で適切な整備が行われていない防災船着場が半分以上占めてあることが明らかになった。一方で活用されない防災船着場があることも明らかになった。再整備の可能性を検討した上で今後の防災船着場のあり方をまとめた。