本研究は、福島県の原子力被災11市町村における介護福祉の現状を明らかにし、今後の介護福祉体制の再構築に向けた課題ついて考察するものである。本研究を通じて、①再開及び新設施設が非常に少ないこと、②再開及び新設された介護施設のほとんどが採算性と従業員の確保に問題を抱えていること、③介護支援専門員は介護施設が少ないことにより、利用者の希望にそったケアプラン作成が困難であることが明らかになった。本研究では、今後の課題として、再開・継続・新設されている介護施設・事業所における介護人材の確保や経営継続に向けた支援の強化とあわせて、介護施設・事業所の再開・新設の促進が必要だと指摘している。また、今後の人口動向や地域構造の変容状況を踏まえつつ、市町村の行政区域を越えた広域単位でのサービス提供体制の確立について、医療サービス提供体制などと一体的に検討することが必要だと指摘している。最後に、今後は、避難指示の解除時期や復興まちづくりの状況を踏まえつつ、こうした介護福祉の課題の解決に資する都市計画を実行することが必要だと指摘している。