都市計画論文集
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売り手と買い手の属性に着目した低額売買物件の土地・立地傾向
岩手県全域を対象として
馬塲 弘樹清水 千弘
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2022 年 57 巻 3 号 p. 792-799

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抄録

本研究は必ずしも市場メカニズムが作用しない低額で売買された不動産を低額売買物件と定義し、その土地・立地傾向を明らかにすることで、どのような潜在的傾向で売買による流通が発生しているかを考察した。分析は岩手県全域を対象とし、価格帯に基づき低額売買物件とその他物件に分類して2群間の比較を行い、売り手と買い手の属性も特定したうえで低額売買物件の土地・立地傾向について検討した。その結果、以下の知見が得られた。第一に、低額売買物件はその他の物件と比較して、土地・立地条件の全ての点において不利な条件で取引されていた。第二に、低額売買物件では個人の売り手から法人や公共への所有権移転がそれぞれ23.5%、22.5%と多く観測され、特に公共の買い手は条件不利な物件でも購入に至っていることがわかった。第三に、低額売買物件は同市町村内の売り手と買い手で全体の53.5%と過半数を占め、特に同大字内の売り手と買い手での売買は、条件不利な物件が相対的に取引されていると明らかになった。以上の知見は、全国版空き家・空き地バンクのような市場流通が困難な個人不動産の促進に示唆を与えると考える。

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