抄録
わが国の大河川の治水計画では, 100年あるいは200年に1度程度生起すると考えられる洪水がその対象とされるのが通例である。
なお, 水文観測期間の制約から, 解析対象となるのは近年の洪水群に限られ, これらがその規模や形態において当該河川の洪水史上どの様に位置づけられるかが明らかにされる必要がある。
本研究は, 千曲川流域で既往最大と言われる寛保2年 (1742) 8月大洪水の規模と形態を各地に散在する文献史料の収集, 分析と洪水痕跡の測量による洪水位の推定から明らかにした。その結果, 多雨域は千曲川止・中流右支川域であり, 洪水位は明治29年洪水と比較して1.2~1.6m高かった。