土木史研究
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横浜港の土木遺構-新港埠頭について (1)-
増渕 文男
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キーワード: 明治, 横浜, 港湾施設, 岸壁
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1992 年 12 巻 p. 379-384

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抄録
横浜港の新港埠頭は日本最初の近代埠頭として1910 (明治44) 年に、大桟橋と大岡川河口間に築造された。横浜の開港は1859 (安政6) 年で、同年に開港場建設 (東・西波止場) が始まり、1894 (明治28) 年製桟橋と防波堤が完成し、近代港湾として整備され第1次築港事業が終了した。続いて第2次が1899 (明治32) 年に開始され、日本最初の繋船岸壁埠頭として新港埠頭が計画された。基本計画はH. S. パーマーで、その後、古市公威らが引き継ぎ、近代的土木工事による埠頭が建設され、本格的な貿易港が完成した、それ以後、関東大地震、第2次世界大戦そして高度経済成長期などの変動期があったが、戦略的な変更はなく現在に至っている。
近年「みなとみらい21」事業において、創建以来の大改修が行われようとしており、事業対象となる前に土木構造物の歴史的遺産の調査を行った、調査対象は岸壁と護岸、橋梁および鉄道、機械等である。創建当時の石積岸壁や護岸等は一部に、鉄道橋梁は総て現存しており、機械類ではエレベーターや稼働中のクレーンなどがある。本報では岸壁、護岸及び物揚場等の埠頭本体を主にまとめた。
明治期の創建当時の面影が残る、活気ある貿易港、倉庫街や海上を貫く鉄道線路、そして視覚的に閉鎖された穏やかな内海など、幾つもの貴重な景観が存在する。また岸壁には水辺石積階段がその歴史的風格を今に伝えている。
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