土木計画学研究・論文集
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阪神・淡路大震災が交通行動に及ぼした影響に関するパネル分析
藤井 聡北村 隆一柘植 章英大藤 武彦
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1997 年 14 巻 p. 327-332

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抄録

本研究では, 大規模な地震の発生を想定し, それを十分に考慮した都市計画を検討するための基礎的な知見を得るために, 1995年1月17日の阪神・淡路大震災による生活行動・交通行動の変化を対象として分析を加えた.分析を加えたデータは, 大阪湾岸地域の居住者を対象として1993年11月, 1994年11月にそれぞれWave 1, Wave 2を, そして震災後の1995年6月にWave3を実施したパネル調査から得た. 得られたパネルデータに基づいて, 個人の生活圏についてのモデル分析を加えた結果, 意思決定構造にも震災が影響を及ぼしていることが示された. また, 時間利用パネルデータに基づくモデル分析からは, アクセシビリティ指標で表現される交通のサービス水準の変化量と, 倒壊率で表現される震災によって受けた被害の規模が一日に移動に費やす時間 (総移動時間) の変化要因であることが分かった. そして, 移動時間は, 仕事時間や宅外活動時間等の他の活動の実行時間に対して影響を与えていることが統計的に分かった.

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© 社団法人 土木学会
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