1997 年 14 巻 p. 409-419
水資源開発事業においては, 複数の主体が施設を共同で利用することが多い. このとき, 事業費用を参加主体間でどのように配分するかという「費用配分問題」が生じる. 広域導水事業, 流域下水道事業等のネットワークを持つ事業は, 多目的ダム事業と異なった特性を持つと考えられる. 本論文ではこのようなネットワーク型事業の特性を考慮した費用配分法についてゲーム理論を用いて検討を行う. ネットワーク型事業では, 部分提携の形成が制限されることがある. このような一部の部分提携の実行不可能性を考慮した費用配分法として, 加重シャプレイ値, 修正した費用関数によるシャプレイ値, 提携ネットワーキング配分法を取り上げ, 検討を行う.