1999 年 16 巻 p. 553-560
モータリゼーション初期における世帯の自動車保有行動は, 経済的要因だけではなく, 心理的・社会的要因の影響を大きく受けるが, それをモデル化する際には, モータリゼーションの成熟期を対象とした従来の非集計的保有モデルには限界があると考えられる.本研究では, 自動車保有の「疑似効用」という概念を提案し, 保有意識の因果構造を考慮した上で, 保有選好モデルシステムを構築した. モデルの推定結果により, 保有意識が保有選好に影響を与えること, 保有意識の考慮により保有選好モデルの精度を向上できることが実証された.また, 非保有世帯の認知不協和及び保有選好における「Veblen効果」が確認された.