2001 年 18 巻 p. 537-544
高度情報化を踏まえた効率的な交通運用を検討するためには、運転者の経路選択に関する意思決定構造解明が重要である。ここでは、運転者の学習過程を考慮した経路選択を基本とした交通現象解析を行う。具体的には、運転者の交通挙動を記述するモデルを構築し、経験的知識の蓄積にともなう経路選択現象を分析する。とくにあいまい性と不確実性に着目し、ファジィ所要時間を導入した運転者の経路選択モデルを提案する。本研究では特に学習量と運転者認知の関係を考慮することから現実的意思決定プロセスが表現された。また、運転者挙動の累積として、仮想的な道路網交通シミュレーションを実行することで、「ファジィ交通均衡状態」の発生可能性を実証的に検討した。