2002 年 19 巻 p. 123-128
近年, 公共投資の乗数効果の低下が指摘され, 社会資本ストックの生産性を計測する試みが行われている. その代表的な手法として生産関数アプローチがある. 一方, 社会資本整備一般には費用便益分析が義務化され, 応用一般均衡分析による便益計測が行われてきている. そこで, 本研究では, 社会資本ストックを考慮した一般均衡モデルを構築し, 生産関数アプローチによる効果計測と応用一般均衡分析による便益計測を理論的・実証的に比較することを目的としている. その結果, 生産関数アプローチによる生産性は便益の近似値として充分な信頼性を有していることを確認した. また, 同フレームを用い, 応用一般均衡分析の統計的誤差について若干の数値シミュレーションを行い, 考察を加えた.