2004 年 21 巻 p. 811-818
住民自らがバスサービスを自己調達する例が見られる. その動きは交通確保の主体である自治体の財政事情や平成14年に実施された規制緩和の影響により, 今後増加する可能性がある. 住民がバスサービスを自己調達するに際しては, サービスの設計はもとより, 調達する路線の運行に必要となる費用を試算し, 事業者との交渉に当たることが必要となる. しかし, 住民が利用できる情報は限られており, それらに基づいて試算しなくてはならない, 本研究では, 費用関数の推計と費用の配賦から成る試算の過程を示すとともに, 住民が導出する試算値には多様な意味の合理性が備わることを明らかにした.