医学検査
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最近5年間のLAMP法を用いた小児肺炎のMycoplasma pneumoniae DNA検出成績
岩田 泰中根 一匡河内 誠野田 由美子舟橋 恵二後藤 研誠西村 直子尾崎 隆男
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2015 年 64 巻 5 号 p. 617-621

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抄録

Mycoplasma pneumoniae(Mp)は小児肺炎の重要な起因病原体である。われわれは,肺炎患者からloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法を用いたMp DNA検出検査を実施しており,今回,最近5年間の成績を報告する。2009年4月~2014年3月に,肺炎の診断で当院に入院した小児2,215例から咽頭ぬぐい液を採取し,LAMP法によりMp DNAの検出を行った。2,215例中712例(32%)がMp DNA陽性であった。年齢は1ヶ月~15歳6ヶ月で中央値年齢が7歳2ヶ月であった。年度別のMp DNA検出例数は2009年37例,2010年161例,2011年308例,2012年147例,2013年59例であった。2011年に全国的なMp肺炎の流行があり,当院においても,2011年の9月に最も多い月間発生数をみた。検出例数の暦月別検討にて,春に少なく夏から初冬にかけて多いという季節集積性を認めた。712例全例でペア血清の抗体価を測定し,559例(79%)に抗体陽転または4倍以上の抗体価上昇を認めた。LAMP法によるMp DNA検出は簡便・迅速で感度が高く,小児Mp肺炎の有用な検査室診断法と考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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