2004 年 21 巻 p. 819-822
バスサービスに関しては, これまでさまざまな研究がなされているが, 個別問題に焦点が絞られていたためもあり, 相互の関連や全体構造についてはさほど明示的な扱いはなされていなかった. しかし, バスサービスの提供問題を理解するためには, 問題の “全体構造” を的確に把握しておくことが重要である. そこで, 本論文では, 地域特性と運行環境, 利用者の活動水準, 利用コスト, 運行コスト, 事業者の運行技術水準, リージョナルミニマムと補助額など, バスサービスに関わるさまざまな要素が互いにどのような関係にあるのかを整理し, 統合的な検討を行うためのひとっの分析フレームを提示した. これにより, 条件の変化や施策の変更がいかなる影響を及ぼしながら各要素に波及し, 新たなシステムの状態を規定するかを体系的に把握することが容易となった.